社労士事務所 Office Follow
助成金ニュース

新卒社員を採用・定着させるための助成金

助成金ニュース 2017年08月号

新卒採用に異変あり

平成29年3月1日から、ハローワークに新卒(大卒、高卒)の求人を申し込む場合の書式が変更になりました。
それは、「青少年雇用情報」を記入する欄が設けられたことです。「新しい求人申込書」には、以下の項目が追加になりました。

<募集・採用に関する情報>
・新卒者等の採用者数
・新卒者等の離職者数・平均勤続年数

<職業能力の開発および向上に関する取組の実施状況>
・研修の有無及びその内容
・自己啓発支援の有無及びその内容
・メンター制度の有無
・キャリアコンサルティング制度の有無及びその内容

<職場への定着の促進に関する取組の実施状況>
・前事業年度の月平均所定外労働時間
・有給休暇の平均取得日数
・前事業年度の育児休業取得者数
・前事業年度の出産者数
・役職及び管理的地位にある者に占める女性の割合

上述の通り、労働条件を的確に伝えることに加えて、平均勤続年数や研修の有無および内容といった職場情報を新卒者等に提供することが、「若者雇用促進法」(後述)によって義務づけられるようになりました。
この仕組みによって、新卒者等が企業の職場情報を理解した上で応募してくるようになります。そうすればミスマッチによる早期離職が解消され、若者が充実した職業人生を歩んでいくための適職選択の支援にもつながるだけでなく、企業が求める人材の円滑な採用などにも役立つことが期待されています。

若者雇用促進法とは?

少子化に伴い労働力人口が減少する中、若者が安定した雇用の中で経験を積みながら職業能力を向上させ、働きがいを持って仕事に取り組んでいくことができる社会を築くことは、「全員参加型社会」の実現を図り、わが国全体の生産性の向上を図る上で、ますます重要な課題となっています。そこで、青少年の雇用の促進などを図り、能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年に対して適切な職業選択の支援に関する措置や、職業能力の開発・向上に関する措置などを総合的に行えるように「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法)が平成27年10月1日から施行されています。前述の「新しい求人票申込書」の項目も、「若者雇用促進法」で公開が義務づけられているものです。また、この法律に基づき、事業主などの責務や関係者相互の連携・協力に関して、関係者が適切に対処するための、以下のような指針も定められています。

■青少年が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるように、労働条件などの明示などに関する事項を遵守すること。
■固定残業代を採用する場合は、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うことなどを明示すること。
■採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされることに十分に留意し、採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力などを行うこと。やむを得ない事情により採用内定の取消しを行う場合には、当該取消しの対象となった新規学校卒業予定者の就職先の確保について最大限の努力を行うこと。
■事業主は、既卒者についても、新規学校卒業予定者の採用枠に応募できるような募集条件を設定するとともに、当該条件の設定に当たって、既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるものとするなどの措置を講じるよう努めること。

わが国では新卒一括採用という慣行がありますので、採用時のトラブルはその後の職業生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります。そこでハローワークでは、一定の労働関係法令違反があった事業所を新卒者等に紹介することのないよう、こうした事業所の新卒求人を一定期間受け付けない(不受理とする)取扱いをしています。今回の求人申込書の書式変更も、こうした流れを受けての措置となっています。

優良企業に与えられる「ユースエール認証」

労働力人口が減少していくこれからの日本において、優秀な人材(とくに若年世代)を確保することは、企業にとっても大きな経営課題になっています。その一方で、雇用のミスマッチなどにより、新卒で就職しても3年以内に退職してしまう若者も多いという皮肉な現実があります。そこで、厚生労働省では若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を、若者雇用促進法に基づき認定する制度を実施してます。これが「ユースエール認定」です。
厚生労働省が認定した企業の情報発信を後押しすることなどで、企業が求める人材を円滑に採用できるように支援をし、求職中の若者とのマッチング向上を図ろうというのです。このユースエール認定を受けることによる企業のメリットは、以下の通りです。

(1)ハローワークなどで重点的PRを実施「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などの支援拠点で認定企業を積極的にPRすることで、若者からの応募増が期待できます。また、厚生労働省が運営する、若者の採用・育成に積極的な企業などに関するポータルサイト「若者雇用促進総合サイト」などにも認定企業として企業情報が掲載されるので、自社の魅力を広くアピールすることができます。

(2)認定企業限定の就職面接会などへの参加が可能各都道府県労働局・ハローワークが開催する就職面接会などに優先的に案内してもらえるので、正社員就職を希望する若者などの求職者と接する機会が増え、より適した人材を採用できる可能性が生まれます。

(3)自社の商品、広告などに認定マークの使用が可能認定企業は「ユースエール認定マーク」を商品や広告などに付けることができます。認定マークを使用することによって、若者雇用促進法に基づく認定を受けた優良企業であることを対外的にアピールすることができます。

(4)若者の採用・育成を支援する関係助成金を加算若者の採用・育成を支援するため認定企業が以下の助成金を活用する際、一定額の加算が受けられます。
★キャリアアップ助成金
★人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)
★トライアル雇用助成金
★三年以内既卒者等採用定着コース

(5)日本政策金融公庫による低利融資日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)において実施している「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸付)」を利用する際、基準利率から-0.65%での低利融資を受けることができます。

(6)公共調達における加点評価公共調達のうち、価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式・企画競争方式)を行う場合は、契約内容に応じてユースエール認定企業を加点評価されます。

以上のように、若者の雇用促進を積極的に行う企業に対しては、さまざまな支援策が用意されています。あなたの会社でも、ぜひこの「ユースエール認証」の取得を目指して下さい。

新卒社員の採用・定着に使える助成金とは?

ところで、新卒社員の採用・定着に使える助成金にはどのようなものがあるでしょうか? ここでは、「青少年雇用情報」で開示が求められている「研修制度」「自己啓発支援制度」「メンター制度」「キャリアコンサルティング制度」を整備するための助成金についてご紹介しましょう。

①職場定着支援助成金(研修制度)雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度)の導入などを通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して助成するものです。一定の要件を満たした研修制度を導入した場合に10万円の助成金が支給されます。

②教育訓練休暇制度(自己啓発支援制度)従業員が自発的に自己啓発等を目的とする教育訓練を受講するにあたり、事業主が休暇(有給・無給は問いません)を与える制度を導入して、対象者が発生した場合に47.5万円(生産性要件を満たした場合は60万円)の助成金が支給されます。

③職場定着支援助成金(メンター制度)上記①の研修制度と同様にメンター制度を導入した場合にも、制度導入助成として10万円が支給されます。また、メンター制度を導入することによって実際に離職率が低減した場合には、目標達成助成として60万円が支給されます。(研修制度を導入して離職率が低減した場合も同様です。ただし、目標達成助成は1事業所につき1回しか受けられません)

④セルフキャリアドッグ制度(キャリアコンサルティング制度)キャリアコンサルタントによる面接指導など、一定の要件を満たすセルフ・キャリアドック制度を導入し、対象者が発生した場合に47.5万円(生産性要件を満たした場合は60万円)の助成金が支給されます。

これらの助成金を上手に活用することで、新卒募集の求人票に「研修制度あり」「自己啓発支援制度あり」「メンター制度あり」「キャリアコンサルティング制度あり」と記入するこができます。そうすることで、社員を大事にしている会社という印象を与えることができ、優秀な人材が応募してくることが期待できるのです。ぜひ助成金を積極的に活用して、若者にアピールできる職場環境を整備して下さい。

まとめ

本稿では新卒採用に関する新しい動きについてお伝えをしてきました。企業がこれから新卒社員を募集するにあたっては、採用者数や離職者数といった採用関連の情報だけでなく、所定外労働時間や有給休暇の取得率といった雇用データなどの開示が求められることになります。そして、こうしたデータを開示できない企業は「ブラック企業ではないか?」という疑いを持たれてしまい、求人を出しても応募者が集まらなくなってしまうことが考えられます。本稿でご紹介した助成金を活用して、「若者が成長できる職場環境」を整備して、優秀な社員の確保につなげていただきたいと思います。


  本内容についての解説動画をご覧いただけます。
ご希望の方は以下フォームにメールアドレスお名前を入力して「動画を見る」ボタンをクリックして下さい
お名前必須
メールアドレス
必須

ご入力いただいた情報は弊社に送信されます。

助成金に関するご相談・お問い合わせはこちら
社労士事務所 Office Followtel: 03-6434-0713 
×

弊社は助成金申請手続きをはじめ、助成金に関する様々な業務を行なっております

お問い合わせ内容
必須
助成金新設手続きについて相談したい助成金コンサルティングについて聞きたい
お名前
必須
メールアドレス
必須


社労士事務所 Office Followtel: 03-6434-0713
107-0061 東京都港区北青山3-2-1 ムラカミビル5F